京扇子 1. 扇子の歴史 
2. 京扇子のできるまで 
3. 人生を彩る扇子たち 
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1. 扇子の歴史

豪華な檜扇
豪華な檜扇
扇子は日本オリジナル

 扇子は日本を起源とするもので、その誕生は平安時代の初期まで遡ります。最初の扇子は「檜扇(ひおうぎ)」と呼ばれ、記録に使われた木簡(もっかん)という細長く薄い木の板の片端を綴りあわせたものでした。そこから形状が洗練され、宮中女子の間に広がるころには扇面は上絵で飾られた雅やかな身の回り品になりました。

紙でできた蝙蝠扇
紙でできた蝙蝠扇
 
 平安時代の間に、檜扇についで「蝙蝠(かわほり)扇」という紙扇が登場しました。これは竹や木を骨として、片面にだけ地紙を貼った摺扇(すりおうぎ)で、その名は「かみはり」の音が変わったとも、扇を開いて逆さまにした形が動物の蝙蝠(こうもり)に似ているからともいわれています。

 平安時代も末期になると、扇の骨に透彫(すかしぼり)をした「透扇(すかしおうぎ)」「切透扇(きりすかしおうぎ)」が生まれ扇子も多様化してきました。しかしこれらの扇子は貴族や僧侶、神職たちのもので、一般の使用は禁止されていました。


逆輸入で現代の形に

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左から鎮折、雪洞、中啓(末広)
 鎌倉時代になると、禅僧などによって日本の扇子が中国へ渡りました。そこで扇子に大きな変化が起こりました。それまで片面にだけ貼られていた紙が、中国において紙が両面に貼られるスタイルに変化したのです。中国で変化を遂げた扇子は、室町時代に「唐扇」として輸入され、その様式が日本の扇子にも使われるようになったのです。

 また、この時代に現代の日本の扇子の基本となる形式が確立しました。閉じた扇子の先端がイチョウのように広がる「末広/中啓(ちゅうけい)」、先端がしまった形の「鎮折(しずめおり)」従来の形をとどめた「雪洞(ぼんぼり)」の3つです。
 能や狂言、茶道においても必須のものとなった扇子は、江戸時代になると庶民の日常生活に使われるようになりました。

 こうして日本人に欠かせないものとなった扇子は、海外にも広く伝わっていきました。中国はもちろん、インドや遠くヨーロッパに伝わりルイ王朝を華麗に彩りました。またヨーロッパに伝わり絹貼りとなった扇子は、その後逆輸入され「絹扇(きぬせん)」を生みだしました。


日本人の人生を彩る扇子

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お宮参りで奉納する末広扇
 今でも扇子は人生の節目節目に登場しますが、かつては今以上に、扇子は日本人の暮らしを彩る小道具として、欠かせないものでした。生後約1ヶ月の初めての宮参りで、土地の守護神へ扇を奉納することに始まり、人生の節目節目に扇子との付合いがあり、それが生涯続いたものでした。3歳、5歳、7歳の祝事の神詣では必ず扇子を持ちましたし、7歳にもなれば、子供として常に童用扇子を持つようになります。子供たちはこの頃から将来の人生の糧として謡曲、音曲、踊り、茶道、華道などの稽古ごとを習いはじめます。そしてそれぞれの稽古ごとの決まりの扇子を携えるようになるのです。これらの扇子はハレ用の扇子で、それとは別に普段用の扇子も持っていました。

 京都では13歳になると行う十三参りを境に扇子も大人用に変わります。大人となればそれぞれの好みの扇子や家特有のきまりの扇子をもつことも許されました。
 やがて年頃になり婚約ということになれば、扇子を取り交わします。そして結納時にも行末を祝福するために必ず扇子を一対贈ります。もちろん婚礼にも扇子は用いられ、男性は細骨、女性は黒骨金銀のものを持ちました。

 その後、初老(40歳)、半白(50歳)、還暦(60歳)、古希(70歳)などの節目を祝うごとに、披露の扇子を配りました。また、葬儀などの不祝儀には鈍色(にびいろ)の扇子を携えました。この扇子は2度と凶事が起こらないように、その時限りで捨てます。


扇子にまつわるエピソード

扇子のとりかわせ
 結婚がきまり結納の前に交換する扇子は、現在では新郎に白扇を、新婦に金銀扇を贈るのが一般的ですが、本来の意味は自分が普段使っている扇子に、自分の体や心をこめて相手に託すという、平安時代からの風習に基づいています。
 また、新婦が婚礼の時に持つ扇子は、もともとは本金銀地紙で、多幸を祈るとともに災厄から身を守る魔除けの意味もありました。

結界(けっかい) 
 扇子を前に置くことで、謙譲の意を表わします。挨拶の決まりごととして使われました。面白いところでは、能舞台の地謡(じうたい)や後見(こうけん)の元に置かれる扇子があります。これは扇子で結界をつくることによって、彼等は舞台上に見えてはいても登場人物の世界には存在していない、という約束事を成り立たせているのです。


2. 京扇子のできるまで


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