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九代目岩野市兵衛氏
昭和8年9月28日、福井県今立町生まれ |
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伯父から技術を、父親からは職人の心意気を習いました。
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家族4人の技術が認められた
私の作っている生漉奉書は手間と費用がかかるため、どんどん需要が減っていったときにはもうやめようかと思ったこともありました。でも私の作る紙を本当に必要としてくださっている方がいる限り作り続けなければ、と心にいいきかせ、黙々と紙を漉き続けました。 |
葛飾北斎の極薄の版画用紙を漉いたことは印象的でした。
7年ほど前にボストン美術館の収蔵庫から葛飾北斎の版画の原版が見つかったんです。それを当時と同じ紙で版画にしたいのでその紙を漉いてくれないかという申し出がありました。それが百分の十一ミリという極薄い紙なわけですよ。しかも何度もバレンをかけますから丈夫なものでないとまずいんです。で先方から「岩野さん、この難しい紙引き受けてもらえますか」といわれて、「わかりました」と返事をしました。私としてみたら、難しい紙ではあるけれども先人たちができたことがどうして当世の職人ができないことがあろうかという思いだったんです。それで何日もかけて漉いたんです。ただそれを始めたら没頭してしまって、ほかのお得意さんからの注文に手が付けられなくなって、結局大切なお得意さんを逃がしてしまったんです。でもその紙が漉きあがって、版画を見たときは感動しましたね。江戸時代の版画が現代の職人が漉いた和紙の上によみがえったわけですから。 |

