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| 小杉放庵 ヤマセミ 56.9×66.5cm |
| 文字というものを発明して以来、人間は粘土板、レンガ、金属、石や骨、動物の皮、植物の樹皮など文字を記す材料をいろいろ工夫してきました。しかし古代の中国における蔡倫(さいりん)の紙の発明によって、人間は文字を記して残すためのまさに最上の素材を手にすることになりました。中国で発明された紙づくりの技術は、シルクロードを経てイスラムの世界へ、あるいは日本へと伝わっていきます。日本に渡来した紙は独特の発達をみせ、日本の紙、和紙となりました。 手漉和紙には洋紙には見られない、優れた特色があります。まず1,000年は持つ、といわれる優れた保存性です。手漉和紙の原料に使われる靭皮繊維はもともと紙を劣化させる成分、リグニンが少ないため、強くて保存に適した紙ができます。実際正倉院には西暦702年の日付のある戸籍に使われた紙が残されており、和紙の保存性がいかに優れているかを証拠づけています。次にその独特の美しさです。その美しさは繊維の長さが約1cmほどに整えられていることと、風雅な漉き模様を生み出す漉きの技術や簀目(すのめ)、編み糸の跡など紙に表情を付ける演出の妙から生まれています。 こうした手漉和紙に魅了されたのは、古の人々ばかりではありません。現代日本画家を代表する横山大観、東山魁夷などをはじめ、書道、版画などに携わる芸術家が現在でも手漉和紙を愛用しています。原料の配合まで詳細にしるし、製紙工場に注文する日本画家も少なくありません。保存性に優れ、強く美しい手漉和紙は日本文化を支えている基盤のひとつと言えるかもしれません。 |
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| 横山大観は初代岩野平三郎氏のつくる紙を愛用した |
